設立目的

設立趣旨書


1.趣旨

2013年に東京オリンピック・パラリンピック2020の開催が決まり、また2010年頃から始まった日本国への入国ビザの規制緩和が進む中で急増する外国人観光客に対応するためには、当時、通訳案内を業として行う者が国家資格で都道府県知事登録の通訳案内士のみに限定されていた状況に一部から懸念が示されていました。

2015年には訪日外国人旅行者は約2,000万人と急増し2020年には4,000万人へ倍増させることが政府目標となり、そうした中、政府の規制改革会議では「訪日外国人観光客が大幅に増え観光目的も多様化しているにも関わらず、現在の通訳案内士制度では対応できない」ことから、通訳案内士の制度見直し議論が始まりました。

2016年にはこれまで通訳案内士のみが業として行うことが出来るとされていたものを、無資格ガイドでも報酬を得て通訳案内業務が出来る事にするなどを柱とする法改正の方向が固まり、2017年3月10日「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案」を閣議決定、2017年5月に国会で審議の上、可決成立し、2017年6月2日に公布されました。

その結果これまでは、国家試験に合格して都道府県知事に登録することで得られた資格を持つ通訳案内士のみに認められ、無資格者へは厳しい罰則が適用されてきたものが、今般の法改正により無資格者でも報酬を得て通訳案内をすることが出来るようになりました。

そのため通訳案内士としての試験や研修を受けず十分な語学レベルや観光知識がないままに報酬を得て通訳案内を行う人たちが出てくることに各方面から懸念の声が上がっています。そのような事態が起きれば、結果的に訪日来道外国人観光客に満足なサービスを提供出来ないことで、北海道観光へのイメージダウンや社会的問題になることも十分想定され、国際交流、国際協力にも大きな影響を与えることが懸念されます。

したがって、通訳案内に従事する者の職業としての地位向上や専門性を高めるなどの質の向上はもちろん、これまでの業務経験を生かして北海道の観光振興や国際交流、国際協力に貢献、寄与していくことは喫緊の課題であり、通訳案内業務を熟知し、北海道観光に多くの知見を持つ通訳案内士自身がこうした課題解決のため主体的に取り組み解決していくことが求められています。

そこで、この法人では訪日来道外国人観光客に対して外国語通訳及び観光案内を行う通訳案内士の資質と地位向上のため研修活動や広報活動などの各種サポート事業を行うほか、訪日来道外国人観光客の我が国及び本道の文化や伝統、生活習慣などの正しい理解と、安全安心な旅程の確保並びに道民等との交流を通して北海道観光の振興と国際交流、国際協力の活動に貢献、寄与することを目的として設立いたします。

またそのための事業として、通訳案内士等の研修や研修に必要な図書及び教材の企画・開発等、道内の観光資源の発掘及び創出と道内の国際観光モデルルート等の創出事業、そして国内、道内観光に関わる行政、団体、企業、また海外の通訳案内士(通訳ガイド)組織等との協力、交流、連携を行う事といたします。これにより大きな期待と希望を持って訪日来道する外国人観光客に大きな満足感を与え、法改正後の新制度に懸念を持つ観光関連業界に安心感を与えるばかりでなく、広く北海道観光の振興や国際交流、国際協力の活動に対し大きな社会的貢献を果たし、公益の増進に寄与することが出来ます。

上記の目的実現に当たっては任意団体や会社では北海道で活躍する通訳案内士全体の意向反映が十分出来ない恐れもあり、かつ通訳案内に関わる多くの関係者が誰でも参加出来る特定非営利活動法人による活動がふさわしいと考えます。関係各位のご理解と幅広いご支援をいただき法人設立に至りますことをお願いいたします。


2.申請に至るまでの経過

上記趣旨記載の法改正が及ぼす影響に危機感を持つ通訳案内士を中心に関係者が相集い、北海道観光及び国際交流、国際協力への影響を排除すると共に、一層の社会貢献、公益増進への寄与をめざして特定非営利活動を行う法人を設立し活動を行うべきであるとの意見の一致を見て申請に至りました。